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馬の飼養管理について
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| いままでまったく馬を飼った事のない人にとっては、餌のやり方から手入れの仕方まで分からない事だらけでしょう。そこで、我家のやり方を絡めながら参考までに書いておきます。我家のやり方はあくまで一例ですので、それぞれ自分のおかれている状況や個々の馬の状態を見ながら、オリジナルのやり方を確立していくと良いと思います。 さて、では一日の流れを説明しましょう。我が家ではおおむね6時と18時の2回が馬の手入れ、厩舎・馬房掃除、そして飼い付けの時間です。まず馬を馬房から出して繋ぎ場などに繋ぎます。毛並みに沿ってブラシをかけてやり、見えない場所であるお腹の下や肢周り、陰部から股の間まで丁寧にかけてやります。汚れのひどい時はシャンプーやリンスをするのも良いでしょう。そしてタテガミや尻尾などの長毛を櫛で梳いてやり、蹄の手入れに入ります。蹄は馬の命でもあります。清潔にしていないと蹄の裏から腐ってきたり、乾燥して蹄の表面が割れてしまったりという事になります。まず肢を上げさせて蹄の裏をテッピで汚物を取り除きます。蹄叉側溝には特につまりやすいので念入りに。汚物を取り除けたらタワシを使って裏も表も洗ってやります。毛の部分まで濡れてしまったらよく拭き取ってやり、蹄は自然に乾燥するまで待ちます。蹄がある程度乾燥したら蹄油を裏も表も刷毛などで塗ってやります。これは蹄の保湿と保護のためであり、あえて高級な蹄油を買わなくとも料理に使った後の油でも構いません。削蹄も気がついた時にヤスリをかけてやれば、あえて削蹄師の手をわずらわせる事もないでしょう。もっとマメにやりたい方は、直腸に体温計を入れて毎日検温したり、肢の曲げ伸ばしなどを介助してストレッチさせるのも良いと思います。 さて次に飼い付けです。飼い付けとは餌を与える事なのですが、餌には粗飼料と濃厚飼料とに分けられます。粗飼料とは草(乾草など)であり、濃厚飼料とはえん麦やふすまなどの高エネルギーの飼料になります。馬は草食動物である以上、本来粗飼料である草のみで生きている動物です。ただ乗馬をしたり余分にエネルギーを消費させてしまう場合は、それを補う意味でも濃厚飼料を給与します。また濃厚飼料の方が少量で効率よくエネルギー源と出来るため、粗飼料と濃厚飼料をうまくバランスを取る事で、馬の嗜好性を高め馬体管理もしやすくなるわけです。 さてまず粗飼料となる草ですが、牧草にはイネ科牧草とマメ科牧草があり、イネ科牧草には繊維分や炭水化物が豊富で、マメ科牧草にはタンパク質、カルシウム、マグネシウムなどが豊富です。放牧型に適した品種、採草型に適した品種、寒さに強い品種、暑さに強い品種など、たくさんの品種があるので、環境に即して品種を選んで草地を造成します。自分の土地で自分の馬を養えるだけの草を自給できればベストですが、農家でもない限りなかなか難しいものです。そこでもしそういう土地がないのであれば、乾草として他から買うことになります。乾草は原則的にいつでも馬が好きなだけ食べられる量を与えると良いです。草を食べ過ぎて死ぬような馬はいませんので、最も安心できる飼料でもあります。他に牧草以外に山野草も馬の飼料として有効なものがありますので、原野や山林も活用すればなお良いでしょう。 次に濃厚飼料の説明をします。とりあえず一般的に使われる各飼料の特性を列記してみます。 「えん麦」 繊維分を多く含むため濃厚飼料の中では安全な方であり、馬に与える飼料としては伝統的によく使われています。繊維分が豊富で可消化エネルギーは少ない。丸粒フまま給与でき、濃厚飼料の主体となります。 「大麦」 外皮が硬いためアッペンかひき割りがメイン。えん麦よりも可消化エネルギーは多いが繊維質とたんぱく質が低い。 「とうもろこし」 エネルギー源としては経済性も含めて最良。えん麦よりはタンパク質が少ないが可消化エネルギーは多い。しかし給与量に注意しないと危険も伴う。 「大豆」 たんぱく質と脂肪がとても多いので栄養状態の悪い場合や疲労回復に使われる。一晩水につけてふやかして与えるが、これも与えすぎると胃腸障害をひきおこす。 「ふすま」 たんぱく質や繊維質が豊富で整腸効果をねらって給与されている。 「ビートパルプ」 濃厚飼料と粗飼料の中間的な飼料で、特筆すべきはリンに比べカルシウム含量が高いという特性を持つ。 「米ぬか」 エネルギー源として優れている脂肪含量が高くてコスト的にも安く手に入るが、カルシウム含量に比べてリン含量が高い 一般的に使われているものと、マイナーだけれど個人的にいいなと思うものをとりあえず列記してみました。運動量や妊娠してるかどうかなどで必要養分量はかなり違いますし、参考までに体重600kgの成馬についての必要栄養量を掲載しておきます。 <1日の栄養要求量 成馬600kg>
上の表を元に自分の愛馬について1日に必要な栄養量が分かったら、次にどれをどのくらい与えるかを飼料成分表とにらめっこして決めていきます。まずはエネルギーを、それからたんぱく質を充足するよう配合を考えます。最後にカルシウムとリンの比率を考えていけば良いのですが、カルシウム:リン=2:1〜1:1の間がベストです。リンは普通飼料中に多く含まれていて不足することはないので、少なくともカルシウムをリンと同じくらい給与するようバランスを取ると良いです。飼料成分表はおそらくインターネットで検索してもあるかと思いますが、 簡単なものを掲載しておきます。 <主な飼料の栄養価>
飼料給与についてはあくまでメインは草(乾草)で、必要エネルギーの最低半分は草で賄うようにしましょう。濃厚飼料に頼りすぎると疝痛や蹄葉炎など、一歩間違えば命を奪いかねない疾病につながる危険性をはらんでいます。なお餌を変える時は少しずつ変える事、同じ量を与えるのでも回数を多くに分けたほうがいいのは言うまでもありません。こういった餌はどこで手に入るのかというと、農協の資材店舗や雪印種苗や丹波屋などの飼料会社から買う事ができます。頼んでおけば毎月必要量を届けてくれますので、検討してみると良いでしょう。ただし米ぬかは扱っていません。米ぬかはやっぱりお米屋さんから買うことになります。 参考までに我家の馬達には、えん麦主体配合飼料、ビートパルプ、米ぬかを与えています。あとは塩やミネラルなどを少々。それらを飼葉桶に入れ、水を加えて混ぜ合わせて与えるのですが、配合の割合や量は個体によって若干変えてあり、馬の手入れ後に朝夕2回に分けて与えています。ビートパルプについては硬く水分を吸収しやすいので、消化管内での過剰の膨張を防ぐため、必ず給与する前にある程度の時間水にふやかしています。なお乾草は食べる分だけ草架に入れて与えるようにしています。 次に厩舎管理について。基本的に馬が過ごす部屋である馬房は清潔に保たなければなりません。馬1頭ずつに個室を与える単馬房と、馬を郡で養う追い込み馬房があります。そして敷き料としては稲ワラやおがくずなどがよく使われます。我家は全て単馬房であり、稲ワラや若干質の劣る乾草を敷き料として使っています。ワラを用いる利点は糞尿と共に堆肥化しやすいという点ですが、管理するのに手間がかかります。おがくずは管理するのは楽ですが、馬の気管をいためたり堆肥になるのに時間がかかるという欠点があります。どちらにするかは好みで決めて構わないでしょう。 ここではワラを使った馬房管理について説明します。馬を手入れのために馬房から出した後、あまりに汚れたものはボロ(糞)と共に堆肥場へ積み上げます。それほど汚れていない多少尿などで濡れているようなワラは、天日に干しておく事で再利用する事ができるのです。手順としてはまずボロと再利用できないワラをボロ取りやフォークで全て取り、一輪車などで堆肥場へ持って行きます。綺麗なままのワラはフォークで馬房の隅に積み上げつつ、再利用するワラは馬房の入り口などに積み上げていき、最後にレーキで綺麗に掻き出して馬房の地面を露わにして乾かせます。馬房入り口に積み上げた再利用するワラは外へ出して薄く広げて天日に干し、数時間後にフォークでひっくり返したり空気を入れたりして、満遍なく乾くようにしていきます。天気の良い日なら朝干したワラは夕方に取り込んで再利用できます。そしてまた馬を入れるときには馬房にワラを敷いてやり、水と乾草を備え付けて完了です。我家では濃厚飼料の飼い付けは馬房内ではやりません。繋ぎ場などに繋いで手入れが終わり次第与えています。その飼料を食べている間に馬房を掃除し、食べ終わった馬は放牧する時は放牧し、また馬房に入れる時は馬房の準備をするのです。馬房は常に清潔に保つため、馬房を使った時は、1日2回の手入れ・飼い付け時間に必ず掃除するようにしています。使った後そのままワラを敷き足し、どんどん積み上げていって、ある時期が来ればまとめて掃除するというやり方もありますが、個人的にあまり好きではありませんし、再利用できるワラもなくなってしまいます。原則的に馬房に入れるのは悪天候の日や真冬の冷え込む日、特に夜です。天気が良い日中はなるべく放牧するようにしています。 完全に放牧しっぱなしで草と水だけ与えておくのは確かに管理上楽ですが、少なくとも一日数回の馬への手入れは馬の健康のためでもあると同時に、人と馬との大切なコミュニケーションの一つであり、欠かす事は出来ないと思っています。もちろんきちんと規律を守らせ、人と馬との上下関係を築くよう努力するのは当然ですが、日々の馬への手入れは人馬の良好な関係を築く下地となると思っています。 |
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